住宅ローン関係の法律

住宅ローンに関する法案

モラトリアム法案を考える

大騒ぎの末、モラトリアム法案が成立・施行されました。貸し手である金融機関の側からは「収益が悪化する」「モラルハザード
を引起す」、借り手である中小企業や個人の側からも歓迎の声がある一方で、「先延ばしになるだけで、負担が増す」「次に貸し
てもらえなくなる」といった懸念も伝えられました。双方「もっとも」なのですが、私がちょっと考えてしまったのは「それでは
今まで見直しの相談は行われていなかったのか」と感じたからです。

終身雇用神話をかなぐり捨てて、ここ数年は「非正規雇用」や「期間雇用」「派遣」といった形態が急増していた日本の雇用が、
急激な経済の悪化を受けて一斉にそれらを切り捨てに走り出した。それでも業績の回復が難しければ、正社員も当然にリストラの
対象になっていく。給与や賞与カットも行われる。実感としては、「賞与○ヶ月、財形貯蓄」などという求人案件を見ることの方
が珍しい。住宅ローン返済の前提は「安定的な雇用」だと思うから、それが崩れ去った今、「返済の仕方」が見直しの対象
になるのは当然だと考えます。

それでも日々「住宅ローン返済滞納で競売増える」といったニュースを目にします。コメンテーターの方々が「この法案の唯一の
功績は、返済が難しくなったら条件変更などの相談にのってもらえるということを知らしめたことだ」と言っていましたが、「そ
れでは、今まで相談は不可だったんですか」と感じたわけです。

今回のような「急激な景気の悪化」ということではなくとも「転職して収入が減少した」とか、長い人生には様々なことがあっ
て、意志に反して返済が難しくなることも当然に有り得るわけで、それでも何とか返済しようと消費者金融から借りるであるとか
無理を重ねた挙句に、悲しい結論を選び取ることもあるわけです。

幸せを夢見て建てた「マイホーム」が不幸な結果を招くなどということは、冗談にもあってはならないことです。

「雇用」そのものが大きく様変わりし、大なり小なり企業も社会もそれに乗って生きてきた部分もあったはず。
「経済状況が変わったから」で全てが許されるならば、住宅ローン返済者だって同じことを言いたいはずです。
それでも相談に行くということは「最期の最期にしたい」だろうから、追い詰められて「もうダメだ」になるまでは中々行けな
い。

業績が思わしくなければリストラせざるを得ないし、給与他カット」もやむを得ない・・・これは充分に理解できる。
けれども、それと同じように「柔軟な対応」をして欲しい。せめて追い詰められてからではなく「ちょっと相談してくる」と言え
るような雰囲気作りを金融機関にはお願いしたい。

「雨が降ったから傘を貸す銀行」、今回の法案によって少しはそちらに向かうのかなと、そうであればいいと思いながらニュース
を見ていたのでした。